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第15話 間一髪

last update Date de publication: 2026-08-03 06:02:27

 我が田舎の海水浴場は知名度こそ高くないが、全国各地から海水浴客が訪れる隠れた名所である――らしい。

 らしいというのは子供の頃に地元に関心をなくして以来、それまで持っていた知識さえ、瞬く間にどこかに置き去りにした結果だ。

 自分が泳がず、関心もないとはいえ、近くを通ることは度々あったので、そこが混雑とは縁がないわりには綺麗なビーチで、ときおりヨットなんかも見かけることがあるのは頭に入っている。

 青い空、青い海、そして潮の香り――と言いたいが、生憎と今日は悪天候で、空はどんよりと曇り、今にも雨が降り出しそうだった。

 なんでも台風が来るとかでビーチにたった一件しかない海の家も、すでに戸締まりを終えて、海水浴客も見当たらない。

 僕はといえば、そもそも目的が下見だったので泳げなくても困ることはないが、さすがに風も強くなってきたので、そろそろ引き揚げようと考えていた。

 顔にポツリと雫が当たるのを感じて足を速める。しかし、突然降り出した雨は、あっという間に土砂降りに変わり、僕は完全に濡れ鼠になってしまった。

 内
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     公園で爽子にすべてを話し終えたとき僕はまた泣いた。背中から回された彼女の両腕が僕をぎゅっと抱き留めてくれている。「爽子、僕は本当にバカな男だ」 「ええ」 「本当はずっと昔に月子に救われていたのに、それを忘れてよけいな面倒をかけていた」 「ええ、そのとおりね」 頷く爽子。だけど、その声はやさしい。「月子はずっと僕を覚えててくれたんだろうな。何度もヒントをくれていたのに僕はそれに気づかないままで……」 「いい人ね、彼女」 「うん」 頷いて月子の顔を思い浮かべる。  いつも明るく笑っていたけれど、本当は彼女こそがいちばん傷ついていた。それはきっと冷たい雨に打たれ続けるような凍えるような痛みだったはずだ。  それなのに彼女は自分の痛みをそっちのけにしてまで僕に手を差し伸べてくれた。「僕は……月子になにもしてやれてないのに……」 今さらながらに僕は悔やんだ。もっと月子に踏み込むべきだった。気になることがあったのに不安と向き合うことを怖れて僕はそれを怠ったんだ。「なのに、月子はこんな僕にありがとうって……」 「あなたの好意が月子さんを守ったのよ。もし彼女が自分で自分を傷つけるようなまねをすれば、あなたと交わした――わたしは君を裏切らない――という約束に反してしまうから」 爽子は僕の背中に顔を埋めるようにして囁いた。「だから、彼女は今もきっと……」 その呟きを聞いて僕は黙ったまま空を見上げる。  あの台風の日、月子は自分の命さえ投げだそうとしていた。  なのに僕との約束を守るためだけに、それをあきらめて生きることを選んだのか。  今も癒えぬ悲しみを抱えたまま、それでも僕を悲しませないためだけに幸せを探すと約束してくれたのか。  彼女はきっと、その約束を守りつづけるだろう。沢木南月子とは、そういう娘なのだから。「わたしは君を裏切らない――か。まるで魔法の言葉だな。彼女はその言葉で僕を救い、自分自身をも守っているんだ」 「それだけじゃないわ」 背中から回された

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